2013/02/09
閑話休題 ~ネーデルランドの自転車事情~
オランダは自転車王国として知られています。
正式国名はネーデルランド。低い土地、低い国という意味です。
その名の通り、国土の4分の1が海抜ゼロメートル、堤防で囲まれた低い平らな土地が広がります。オランダと言えば風車ですが、風車は元々、そうした低い土地や干拓地から水をくみ出すために設置されたものだそうです。
地形的に自転車が利用しやすいということもあり、そのインフラは充実しています。
ほぼ全ての幹線道路には自転車レーンが整備され、車道とは別に独立した自転車専用道が都市を結んでいます。自転車専用道は高規格で走りやすく、高速で移動出来ます。車のように渋滞もなく、大気汚染の心配がないばかりか、非常に安く移動できる手段でもあります。
オランダ人の自転車保有率が世界一というのもうなずけます。
また都市部への車の乗り入れは制限されていて、そうした点でも自転車が有利なことから、車のドライバーのほとんどが自転車にも乗ります。そのため交通弱者である自転車への理解も深く、優先する意識が当たり前のように浸透しています。
こうした環境は当然自転車に乗る人の割合を増やします。
鉄道やバス、車などを含めた移動交通手段の実に3割近くが、また近距離においてはそれ以上の利用率となります。多くの市民が自転車に乗るので、自転車利用者の声を政府や自治体も無視出来ません。
昨年報じられたニュースですが、それを端的に表しているものがあります。
自治体が自転車道のロードヒーティング導入を検討
http://www.afpbb.com/article/life-culture/life/2908917/9728621?ctm_campaign=txt_topics
日本の自治体だと、車のために除雪をすることはあっても、自転車のために除雪することはないでしょう。まして自転車のためにロードヒーティングを導入し、自転車利用者のために積雪や凍結を防ぐという自治体など聞いたことがありません。
欧米では交通ルールも道路整備も車優先ではなく、歩行者や自転車が優先、人命優先です。このことは車づくりにも反映しています。
オランダの会社が最近開発しているエアバッグは、なんと車外に向かって開きます。車のドライバーを助けるのではなく、衝突した自転車や歩行者を助けるためのエアバッグです。ドライバーの命を疎かにするわけではありませんが、衝突した時、いかに歩行者やサイクリストの人命を助けるかという視点です。
オランダでは環境的なものもありますが、社会としての自転車目線が自然なことなのでしょう。国民の意識の中に、車優先でなく、歩行者や自転車を優先するのが当たり前という考え方が広く定着しているようです。日本でもこうした意識を見直していけるといいですね。
参考ブログ:サイクルロード
http://blog.cycleroad.com/archives/51933669.html



